treasure(宝物)
先に連絡してあったから、お父さんはリビングで座っていた。
「お父さん、連れてきたよ」
お父さんと達也が会うのは初めて。
お父さんの顔が曇ってきた。
達也と私はお父さんの向かいに座った。
「お父さん!お嬢さんを下さい。絶対守って見せます」
達也が言った。でもお父さんは黙ったまま。
「お父さんお願い!オッケイしてくれるよね?」
「やっぱり…」
やっぱり?
「やっぱり認めん!!」
「お父さん…」
さっきは連れて来いって優しく言ってくれたのに、今は認めないって言われた。
どうして…
でもお父さんの顔を見ると笑っていた。