treasure(宝物)
一晩中涙が止まる事はなかった。
施設に行く日。
カーテンの隙間から光が差し込んでいる。
太陽が眩しくて目を細めていると、
ドアの外からお母さんの声がした。
「入るよ」
お母さんは私の隣に座った。
「今日から施設だから…用意してね。夏葉、本当にごめんね…」
お母さんは泣いていた。
泣きながら私のことを強く抱きしめた。
お母さんが泣いてる所、初めてみた。
でも怒りは消えない。
お母さんへの怒り。
お父さんへの怒り。
2人の怒りを合わせるととんでもない大きさだ。