treasure(宝物)



私はホールに向かった。
入り口から顔を覗かせると亜美以外のみんながいた。


愛理が私に気がついた。


「あっ!」


愛理のその一言に康平も幸も瞳も私に視線を向けた。愛理と幸が目の前まで走ってきた。



「お姉ちゃんも一緒に遊ぼ」


「いいから!いいから」


幸に手引っぱられみんなのそばに行った。


座ると愛理が聞いてきた。


「名前なんだっけ?」


「藤井夏葉」


「夏葉ちゃん…?じゃあ夏葉姉ちゃんだね」


「まあ…。」


名前の後に姉ちゃんってつけるのがお決まりの様子。



「今なにしてたの?」



「特に何も…部屋は暇だから。って言っても此処も暇なんだけどね」



愛理はそういいながら小さく笑った。



その時、瞳が泣き出した。





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