treasure(宝物)






「瞳はなにも覚えてないよ!!!」



「…!!」



「瞳がまだ二歳の事だったから。
両親は久しぶりに2人で旅行って言って家を出た。
2人が帰ってくるまで、愛理と瞳は親戚の家にいたの。【すぐに帰ってくるから。しばらくの間、いいこで待ってて】ってママに言われた。

ママの言葉を信じて待ってたのに、2人は帰って来なかった。交通事故に巻き込まれて死んじゃったの。
でも悲しくなんてない。
2人の【行ってきます】の一言がずっと忘れられない。いつか帰ってくるって今でも信じてる。

だから悲しくなんてないよ。」




悲しくなんてない…。
2人はまた必ず帰ってくるもん。

いつか、必ず……―。






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