treasure(宝物)



次の日。朝ご飯を食べた私は瞳と2人で散歩に出かけた。

施設の周りを歩いていた。




「おんぶ~おんぶ!」




またわがままを言う瞳。
甘やかしてはいけないと分かっていてもついわがままを聞いてしまう。



「しばらくの間だからね」




「うん!」



瞳をおぶって歩き出す。



ふと空を見上げた。




「綺麗な空だね。瞳、見える?」




瞳が小さく頷く。


幸や亜美姉ちゃん、康平兄ちゃんに夏葉姉ちゃん。みんなにはこの空の下に繋がっている人がどこかにいる。



でも私と瞳にはいない。
幸が母親なんていらないってよく言ってるけど、いないよりかはマシだと思う。



お母さんとお父さんと繋がっていたかったな…。私たちを置いていくなんて。






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