treasure(宝物)
「この犬、お姉ちゃんが飼ってあげる。でもみんなには内緒だからね」
「うん!」
瞳は飛びっきりの笑顔を見せて喜んだ。
部屋に戻り、クローゼットを開けた。
「ここが今日から子犬のおうち」
荷物はほとんどない。
服もあんまり買ってもらえない。
だからクローゼットの中はいつも空っぽ。
まずは何か飲ませてあげないと。
「瞳、ワンちゃんみてて!牛乳取ってくるから」
「うん」
犬は瞳に任せて牛乳を取りに行った。
リビングにはまだ裕子姉ちゃんがいた。
ばれないように入ってテーブルの下に隠れた。静かに冷蔵庫をあける。
ない…。
冷蔵庫の中に牛乳はなかった。
いつもあるはずなのに…