treasure(宝物)


知らない。もう…知らない。



私の瞳からただただ涙が溢れた。

雨に打たれながらたどり着いた場所は小さい頃からよく遊んでいた公園。
近所の子供がよく集まっていた。

お団子作ったり、遊具で遊んだり。
夕方になるとお母さんが迎えに来てくれた。


「帰るよ~」って…。

丁度オレンジ色に染まる時間。
私はお母さんと手を繋いで家を帰る。
いつもがそんな毎日だった。


今私がいるこの場所。
誰も遊んでいなくて、空は暗い。
私が好きだった場所とは思えないくらいだ。

私の心が泣いているように、空も泣いていた。




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