treasure(宝物)
みんなが固まって騒いでいる。
裕子姉ちゃんとお父さんは
椅子に座って笑顔でみんなを見つめていた。
みんなが囲む中には子犬がいた。
私が中に入るとみんなの間を抜けて子犬が走ってきた。
私は駆け寄ってくる子犬を抱き上げ、ギューッと抱きしめた。
「空…」
でもどうしているの?
昨日返しに言ったのに。
その時、亜美姉ちゃんが私の耳に呟いた。
「裕子姉ちゃんがお父さんに許可貰ってくれたんだよ」
裕子姉ちゃんが…?
裕子姉ちゃんを見ると笑顔で小さく頷いた。
「やった~これからはずっと一緒だよ。絶対一人にはさせない!」
もっと強く子犬を抱きしめた。
裕子姉ちゃんはリビングを出た。
私も裕子姉ちゃんを追うようにリビングから出た。