treasure(宝物)
隣の部屋から凄い音がして、急いで体を起こした。
「なに、今の音…!」
隣の部屋は夏葉。
心配になり、てぐしでクシャクシャにした髪の毛を直しながら恐る恐る隣の部屋に向かった。
コンコン!
ノックしても返事はない。
「はいるよ~」
ドアをゆっくり開けた私の目にいろんなものが飛び込んできた。
「どうしたの?!」
中に入ると壁には穴が空いていて、床には写真立てが割れていた。
その写真には夏葉と両親三人が笑顔で写っている。
「ねぇ、なにがあったの!?」
ゆっくり近づくと夏葉は泣いていた。
体が小さく震えている。
夏葉の手の中にはクシャクシャになった手紙。さっき裕子姉ちゃんが渡してたものだと思う。