treasure(宝物)
次の日。
今日は最後の登校。
「おっはよ~」
声を合わせてそう言い、私の背中を叩いてきたのは親友の美智(みち)と佳奈(かな)。
私が今日で最後だと言う事、
2人はまだ知らない。
もちろん、施設に行くと言う事も。
美智が体を伸ばしながら言った。
「いい天気だね~」
「昨日あんなに雨降ってたのにね。晴れて良かった~」
2人の会話に何故か入れない。
入れないと言うか声を出すのも疲れた。
「夏葉?なんか元気ないね。どうしたの?」
「い、いや…なんでもないよ」
「そっか」
2人は私の気持ちにきずくはずもない。
気がつけば学校に着いていた。
教室に入ると担任の先生に呼ばれた。
話があると。
「先生、話って…?」