treasure(宝物)
ほんと、父親みたいであきれちゃう。
「次は愛理が鬼だ!」
私は愛理にボールをぶつけると、亜美は幸にボールをぶつけた。
「幸が鬼~」
幸はゆっくり柔らかく瞳に当てた。
「瞳、鬼だよ」
「やだ~鬼やだ~」
まだぐずりだした。
愛理が泣く前に変わった。
「わかった。お姉ちゃんが鬼するから」
そう言って、瞳にボールを当てさせる。
「あ~疲れた。後は頼んだ」
年のせいか、最近すぐしんどくなる。
だから康平の近くで休んでいた。
遊んでるみんなの姿を康平と眺めていた。
やっぱり夏葉に元気がない。
時々ぼーっと突っ立っているし、あまり笑わない。
康平に言ってみた。
「今日の夏葉姉ちゃん、なんか元気ないと思わない?」