treasure(宝物)
先生が何も話そうとしているのかわかっていたけど…
「お前も大変だな。施設にいかないと行けないなんて。でもな、みんないつでもここにいるんだから、なんかあったら来なさい」
先生が微笑んだ。
思ってもない事言わないで!!
いつでもなんて嘘、言わないで!
卒業したらみんないなくなる。
いつまでもみんなここにいない。
「ありがとう…ございます」
キーンコーンカーンコーン―……。
校内でチャイムが鳴り響いた。
「それじゃあ、行こうか」
「はい…」
私だけ今日はお昼まで。
部屋の荷物を片付けないといけないから。
最後の挨拶をしに先生と教室に入る。
みんなが目を丸くした。
「みんなに話がある。聞いてくれ!」
先生がそう言うと、
「どうしたの?」
「なんかあった?」
とみんなが口々に呟いた。