treasure(宝物)
「…!」
亜美の足がピタリと止まり、私たちも足を止めた。
「お父さん…」
もう遅かった。
亜美の父親は目の前で捕まった。
亜美の目から大粒の涙が零れ落ちる。
父親が乗った車をを何も言わずただ泣きながら、消えるまで亜美は見つめていた。
車が見えなくなると亜美はその場でしゃがみ込んだ。
「亜美…」
愛理の目からも涙が零れ落ちる。
私たち三人はそっとしておくことしかできなかった。