treasure(宝物)
しばらくしてから私は亜美に近づいた。
「大丈夫…?」
私はこんな言葉しかかけてあげられない。大丈夫なはずなんてないのに。
背中をさすろうとしたら、手を振り払われてしまった。
立ち上がって私を睨みつける。
「あんたさ、本当は心配なんてしてないんでしょ?心配してるような顔しないでよ」
亜美がこんなに怒るなんて初めてだったから怖かった。
私だって亜美を心配してるよ。
怖くてそれも言えなかった。