treasure(宝物)




熱があるから体中熱いのに目の前に夏葉がいるからもっと体中が熱くなる。



しんどい…。
しんどすぎて涙が出そうなくらいだ。



「なんか飲みたいものとかある?」



俺は顔を横に振った。



「そっか…」




せっかく目の前に夏葉がいるって言うのに、俺は寝転がって何をしてるんだ。


少しでも隣に座っていたいのに。



無理やり体を起こす。




「どうしたの?どこかに行くの?熱あるんだからじっとしてなきゃダメだって!」




俺は何も言わず、夏葉の隣に座ると



「変な人」



と笑った。



「でも熱あるんだから、無理しちゃダメだよ」



「うん」




肩を並べて座った。







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