海宝堂2〜魔女の館〜
「あれは、海賊旗。海賊船の印よ。つまり、あの船に乗ってるのは、海賊ってわけ。むやみに近づくのが危険なことぐらいはわかるでしょ?」

3人の目の前に人差し指を立てて、だから勝手なことはしないで、という視線を送る。
ニーナの面持ちに3人は言葉を飲むが、それは海賊のやっかいさを理解しての事ではなかった。


「……かいぞく?って何?」


それは他ならぬシーファの言葉だった。
あやうく抜けそうになる魂をニーナは慌てて戻して、シーファの顔を見る。ホントに知らないみたいだ。

だぁああああっ!こんの、お城育ちのお姫様がぁああっ!

髪をかき乱し、そう叫びたいところだが、目を閉じ深呼吸をして乗り越える。

「海賊って言うのはね、商船や沿岸地域を襲って儲ける無法者達の集まりよ。私たちの常識なんか通じない奴らなの。手を出したら、なんだかんだといちゃもんを付けて、お金で済めばいいけど、命だって奪われかねないのよ。わかった?」

「そんな人達が平気な顔で海の上を旅してるっていうの?」
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