海宝堂２〜魔女の館〜

「シーファ！戻ってっ！」

ニーナが後ろから叫ぶが、聞こえない。
怒りで体が震える。シーファを捕まえる為に、一番大切なものを奪っていった。
絶対に許せない！

ニーナが肩に手を伸ばすがもう遅い。
胸が輝き、シーファを中心に空気が膨張し破裂する。
ニーナはその衝撃に小さく悲鳴を上げて、尻もちをつく。トード達は堪えてはいるが、目を丸くして驚きを隠せない。

「海賊の言うことなんて信じられるもんですか…あの女を…
出せぇぇぇっ！！」

怒鳴り声と同時にシーファの姿が掻き消える。姿を見失ったトード達がキョロキョロとすると、船の上から大きな物音と男達の声が聞こえてきた。

「なっ！？一瞬で船の上かよっ！」

深く重い溜息を付きながら、ニーナは頭を抱える事すら出来ずに肩を落とした。

「おいおい、なんだ？この騒ぎはぁ～？」

間の抜けた声に、音を隠す気も無い足音。
ニーナが振り向くと、２人の男がそこに立っていた。