海宝堂2〜魔女の館〜
一方、シーファは、完全に怒りで我を忘れ、いつもの流水のごとき動きは何処へやら、力任せに男達を投げ飛ばしたり、殴り倒したり…。
ついには、殴り飛ばされ、倒れて戦意を失った相手の顔面にとどめの拳を振り降ろす。

「う…あぁぁっ!!」

男が恐怖の声を上げて体をこわばらせる。
やられる…!そう思ったが、シーファの拳は逸れ、真横の甲板板をぶちぬいた。

完全に顔面を狙った攻撃が外れ、思考が一気に戻される。
顔を上げると、倒れた男の真上、シーファと向きあう形で、そいつは立っていた。

「はい。それで終わりな。」

ニッ、と歯を見せて笑う男。
この男がさっきの拳を横から叩いて軌道を変えた?板に突っ込んだ手を抜いて、手首をさする。
怪我してないか?なんて、心配そうにシーファの手を見たりする。
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