海宝堂2〜魔女の館〜
シーファは知っていた。ニーナが独り言を言いながら何かを考えている時は、決して話しかけてはいけないということを…なぜなら。

「うるさいっ!黙ってなさいっ!」

怒鳴られて、頭にたんこぶが出来るからだ。
2人のいい大人は、頭を押さえて、しゃがみこんだ。

ニーナはそのすぐ後にシーファに目くばせをする。
シーファにもわかっていた。ここが、ミチモラ島の酒場で聞いた不思議な洞窟で、魔女の館に続いているかも知れないということを。
2人は同時にうなづくと、洞窟に向かって立った。

「行くわよ。何時まで痛がってるのよ。」

ニーナに言われて立ちあがり、ダートンはシーファにそっと手を伸ばす。

「手を貸そうか?中は暗そうだ。」

「いいえ。」
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