海宝堂2〜魔女の館〜
3人の姿が見えなくなると、ニーナはまだ暴れているリュートを見下ろした。
手も足も拘束された個所が擦れて血がにじんでいるというのに、暴れるのを止めようとしないリュートの姿に言いようもない怒りがこみあげる。
唇を噛み、拳を握りしめ、大きく息を吸いこんだ。

「お、前はぁ~…何もかも忘れてるくせに!調子に乗るんじゃないっ!!」

脳天に思いっきり、拳を振り降ろす。
記憶が無いのはリュートのせいじゃない。わかっていても、今まで一緒にいたことを全部忘れて、自分に攻撃を仕掛けて来た事に無性に腹が立ったのだ。

「海に誘ったのはあんたでしょうがっ!それなのに…っ…」

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