海宝堂２〜魔女の館〜

シーファ達が入ってきたのとは反対側から１人の女がこちらを見て笑っていた。
金髪の長い髪に体に張りついた黒のボディースーツ。真っ赤な口紅に彩られた唇を妖艶な笑みの形に整えて、こんな所で履くか？というほどの高いヒールの音を鳴らしながらその女は現れた。

「…まぁ、そうだろうな。」

女の言葉にダートンが愛想笑いで言葉を返す。
しかし、ここは世間話を仲良くするような場所ではない。笑みを浮かべているもののダートンは油断しているわけではないし、バンズも女の動きに目を配っている。特に、後ろに隠された左手の動きに。
２人はあくまで自分の警戒心を見せないようにしていたが、シーファは違った。
今にも飛び出して行きそうなくらいに女を睨みつけている。
声を聞いた時、すぐにわかった。あの、笑う声と同じ。

「で？あんたは、そんな所で何してるんだ？ここに、住んで…るわけねぇよな？」

隣でシーファの剥き出しの敵意を感じながら、あくまで穏やかにダートンは話しを進める。
女もそれをわかっているようで、その敵意をバカにしたような顔をする。