海宝堂2〜魔女の館〜
頬は腫れ上がり、右目は腫れて開けることさえ出来ないようだ。体中が血と埃にまみれ、吐きだされる呼吸はとにかく荒く短い。
今、吹き飛ばされた攻撃は右の脇腹を狙ったもので、苦しそうにそこを押さえている。

「シーファっ!!何?どうしたのよ、一体!!」
「ボロボロじゃねぇか!!」

「…ニーナ…リュート…よかっ…記憶…もどった…のね…」

片目で2人を見上げ、ゆっくりと笑顔を作る。
ダートンがシーファを抱き起こす。

「大丈夫か?」

「…うん…でも、アバ…ラ、イったかも…」

シーファはそう言いながらも、立ちあがり前に進もうとする。

「ちょっと!そんな酷い怪我で、一体誰と…!!」

シーファを追ってこちらへ歩いてくる人物にニーナは息を飲む。
< 154 / 273 >

この作品をシェア

pagetop