海宝堂2〜魔女の館〜
「お、おい…ちょっと待てよ…嘘だろ…?ガルっ!!」

一歩、また一歩とこちらに向かってくるのは、紛れも無くガルだ。
信じられない光景に、手が震えてくる。
拳からポタポタと血を流し、まっすぐシーファに向かうその顔に生気が感じられない。
シーファはシーファで、よろよろと立ちあがったかと思うと、ガルの前に立ちはだかる。

「シーファ!無理よっ!そんな体で!
ガル!あんた何やってんのよ!」

叫ぶニーナをダートンが止める。同じくリュートもバンズに捕まっている。

「ダートン!離して!あんたたちもまさかっ!?」

「俺達は操られちゃいねぇよ。でも、手だしするなと言われててな。」

「手だしするな!?なんだよ、それっ……ってか、どこ触ってやがる~~~っ!」

「腰。
10分、シーファが奴の攻撃に耐えたら、奴の記憶を返してくれるってさ。」

バンズの言葉に2人が一斉に振り向き、更に腕を振り解こうともがく。
その目の前で、ガルの蹴りがさきほど痛めた個所に入る。シーファは痛みに顔を歪め、倒れこむ。
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