海宝堂2〜魔女の館〜
「ずっと…覚えている、から…私を…助けてくれた…こと…。
今度…は、私が…あなたを…守る、から…。」

闇に沈んでいた私を引き上げてくれた。2度と置いて行ったりしないと言ってくれた。
大切な場所を、大切な人を守ってくれた。
私の為に、命を賭けてくれた。
今度は、私がその命を賭ける。

「バカじゃないのっ!?そんな戯言っ、聞こえるはず無いでしょ!
彼はもう私のものなのっ、彼が守るのはこの私よっ!
ほら、まだ時間はあるわよっ、ガル、もっと傷めつけなさいっ!」

叫ぶマティリの声にガルがシーファに近づいていく。その顔を見つめてからそっと目を閉じる。
顔めがけて、ガルが拳を振り上げる。

「もう、止めてぇっ!きゃあああああっ!」

見ていることが出来なくて、ニーナは思わず目をそらす。
マティリの口端が、ニヤリと怪しく歪んだ。
しかし、それは驚愕の形に変わっていく。
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