海宝堂2〜魔女の館〜
そう言って、トードはぐんっと、走るスピードを上げる。
しかし、ここはとかく足場の悪い森の中、トードの勇み足を地面から飛びだした木の根が絡め取る。

「おぉ!?あぶっ…!」

思いっきり前につんのめったトードに地面が迫る。運の悪いことに転倒予測地点には草も無く、石が飛びだしていた。
ぶつかると思い、トードは衝撃を覚悟する。

「…あ…あれ?」

石にキスする直前だったトードは次の瞬間、木々の茂った空を仰いでいた。
その上、背中が何やらあったかい。

「シーファ!」

駆け寄ったニーナが、トードを突き飛ばす。
2、3回転がった後、自分の居た場所にシーファが居るのが見えた。
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