海宝堂2〜魔女の館〜
「なぁっ、どうするっ?やっつけるか?」

随分と引き離したところで角を曲がり、足を止める。
焦ったリュートがそう言いながら鞄を探るのをニーナが止めた。

「ダメよ、もめごとなんて起こしたら街の人が警戒しちゃうでしょ?話し、聞けないじゃない。」

「じゃあ~どうするんだよ~っ。」

「ごめん…」

しゅんとした様子で謝るシーファにニーナがリュートを睨みつける。

「シーファのせいじゃねぇって!追いかけてくるあいつ等が悪いんだ!」

「でも…うわっ!」

「入れっ!」

申し訳なさそうな声を出すシーファの背中を、ガルがぐっと押す。
そして、ニーナとリュートも一緒に目の前にあったドアへと押しこんだ。

「ガル、こんなとこに隠れたって…」

ドアの中を見まわして、ニーナが言葉を飲んだ。

「いらっしゃいませ。」

にこにこと営業スマイル全開の男性店員が声をかける。
そして、そこには所狭しと服やら装飾品やらが並べられていた。

「服を変えるぞ。」

ガルはそう言うと、店の奥に足を進めていった。
< 25 / 273 >

この作品をシェア

pagetop