海宝堂2〜魔女の館〜
「…い、いてぇ…」

リュートの頬には見事なもみじがかたどられ、痛々しそうなことこの上なかった。

「まったく…人をからかってないで、ガルをちゃんとしたとこに運ばないと。」

まだ赤みの引かない顔でシーファが周りを見渡す。
と、ダートンと気絶していない男達は、信じられない光景にまだ付いてこれず、微動だにしないが、記憶は戻っているのは確かだ。

魅音が砕け、魔女がこの世から消えたのと同時に、結晶化された記憶も元に戻ったのだろう。

「ということは、島の人達も元通りよね?」

「そうね、割る手間が省けたわ。」

「じゃ、ガルは村に運びましょう。病院も確かあったはず…」

心地よさそうに眠るガルを挟んで、和やかな雰囲気で話しあう、2人にやっと我に返ったダートンが近づく。
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