海宝堂2〜魔女の館〜
ミチモラ島に背を向け、一気に水を蹴る。
早い。自分がこんなに早く泳げるなんて、知らなかった。
弾丸のように水を切って進むシーファの眼下に見下ろす海底の景色は一瞬の内に、全く別のものへと変わった。

力の強さにそっと胸に手を当てる、自分は確実に人間とは違う力がある。

でも、今はそんな感傷に浸ってはいられない。
そろそろニーナが心配しだすころだろうし、すっかり変わった海底の景色に思わず嫌な顔をした。

浜辺から目でナツナ島を確認出きたのだから、そんなに遠くはないはずだが、こちらには全く生き物がいる気配がしない。


< 65 / 273 >

この作品をシェア

pagetop