海宝堂2〜魔女の館〜
白い砂地に岩が所々から飛びだし、ゆらゆらと揺れる海草類は数えるほどしか確認できない。
海は広いのだから、自然とそうなった場所だってきっとあるだろう、しかし、ここは違う、明らかに何かの手によって変えられたのだ。

砂に埋もれる貝殻に見たことのある傷跡。そんな貝殻が無数に散らばっていた。

その原因が目の前にある。

その流れが下からなのか上からなのかはわからない。ただ、何者をも拒むようにそこにあった。
シーファはそっと、どこまで続いているか端を確認することが出来ない壁に、手を伸ばした。
中指の先が触れる直前、急に周りの水が冷たくなったような感覚に囚われて、反射的に手をひっこめる。

呪いにも近いその全てを拒絶する意思がまだ残っている。

シーファはそれ以上、壁に近づくことは出来ず、ミチモラ島に戻って行った。
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