海宝堂2〜魔女の館〜
「………遅い。」

砂浜の上でじっと海面を見つめているニーナがぼそりと呟いた。

「もうっ!全くあの子は、人の気も知らないで…」

年上のシーファをあの子と言い放ち、足の重さが倍以上になったかのように砂を踏みしめ、右に左に歩きながらニーナはブツブツと言った。

と、海岸から10mほど離れた場所にシーファが勢いよく頭をだした。
息は苦しくなかったはずなのに、地上の空気を思いっきり吸いこむ。

「シーファあっ!!」

怒りの混ざったその声に思わず頭半分沈みこむ。
目だけ出して、声の主を見ると、うわぁ…怒ってる。
仁王立ちにがっちり腕組み。眉が吊り上がっているのもはっきりと見える。
戻りたくないな…と思っていても、行くしかない。
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