海宝堂2〜魔女の館〜
「ありがとよ、兄ちゃん達。
で、俺になんか用か?」

額の汗をタオルで拭い、焼けた真っ黒の顔からとびきり白い歯が覗いた。
ガルが話しを進めようとするが、リュートが横からかっさらう。

「なあ!何で俺たちに簡単に手伝わせたんだよ?」

男はがっちりと鍛えた体を大いに揺すってガハハと笑い声を上げた。そして、体がぶっとぶんじゃないかというほどにリュートの背中を叩く。

「なぁに、んなもん、目を見りゃ一発さ。お前らは悪い奴じゃねぇ!」

おおぉ~~っとリュートは感嘆の声を上げた。
本物だ。本物の海の男がここにいる。リュートは両拳を握りしめるが、感動で震える体をぐっと抑えられなかった。
その様子を見て、男はまた笑い声を上げた。
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