海宝堂2〜魔女の館〜
ガルが男にすっと手を差し出す。

「俺はガル。こっちはリュートだ。」

ガルの手をがっちりと掴み、男はバインと名乗った。
魚は船の若い衆に任せて、バインはガル達の話しを聞いてくれた。

「ナツナ島周辺の海の様子?知らねぇな。
俺たちの漁場はここから西に進んだ所だ。東側はそれこそナツナ島からの船が通るからでかい魚はいないのさ。せいぜい熱帯魚ぐらいだろ。そんなとこに釣り針を垂らすようなマネはしねぇからよ。」

「そうか。ここ、最近ナツナ島の人達の姿を見かけないと聞いたのだが?」

商店通りでドーザに聞いた話に信憑性を持たせたい。
他の人物も同じように思っていれば、それは間違いがない。
ガルの言葉にバインは、顎に手を当て、考える素振りをみせる。


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