海宝堂2〜魔女の館〜
「そういや、見ないな…。元々漁から戻ってきた時にはナツナ島の奴らも島に戻り始めているから、顔を合わせたりするのは稀だが、それでも、戻る船のケツぐらいは見えてたからなぁ。」

「ナツナ島でなんかあったかも、ってことか?」

「ま、漁業と農業、やることは違うが、同じ生き物を扱った仕事だからな、好不調の波があって当然だな。」

バインの言葉にリュートの期待の目は見るからにしぼんでいった。
何かあったほうがいいのか?と聞かれ、ガルはリュートの尻をつねり上げた。

「いや、何も無いならそのほうがいい。
他に何か変わったことはないか?どんなことでもいい。」

食い下がるガルに、バインは空を仰ぎ、笑みを浮かべて2人の顔に視線を戻した。
その笑みはまるで子供がいたずらを思いついた時のようなものだった。
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