海宝堂2〜魔女の館〜
「リュートぉっ!」
「…お前な…」

「わりぃっ!わざとじゃ…!!」

リュートが逃げ腰でそう言った時だった。
さっきのイルカが戻ってきて、2人の頭の上を飛び越したのだ。そして、シーファの隣にちょこんと顔を出した。
キュイー。と高い声で鳴き、シーファに鼻先をこすりつける。

「こいつ、さっきの?」

「うん。良かった、無事に戻ってきて…」

シーファは優しく頭を撫でながら笑顔を見せた。
こういう表情を見せる時、彼女に流れる高貴な血をガルは強く感じずにはいられなかった。

ガルがそんな事を考えていると、シーファが突然ガルの腕を掴んだ。

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