海宝堂2〜魔女の館〜
「何…?騒がしい…」

「ニーナ!変な霧にまぎれて、誰かが船の側にいるっ!」

目をこすりながら出てきたニーナの元に走り、現状を説明するが、返ってきたニーナの返事は完全に予想の範囲から外れたものだった。

「……あなた、誰?」


「………え?ちょっと、ニーナ…?」

手を伸ばし、ニーナの手を取ろうとすると、ニーナは怪訝そうに顔を歪めて、一歩、シーファから距離を取った。
それ以上は動けなかった。金縛りにあったかのように、ニーナの顔を見つめたまま立ち尽くした。

「なんだ、なんだ?」

「これは一体どういうことなんだ?」

後ろから聞こえる声に振りかえると、リュートとガルが立っていた。
シーファは思わずガルにすがり寄る。

「ニーナが!ニーナの様子がおかしいの!私の事がわからないみたいで…」
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