海宝堂2〜魔女の館〜
「な…ちょっと落ちつけよ、あんた。そんなこと俺に言われてもだな…」

ガルがシーファの肩を掴み、自分から引き剥がす。シーファは引っぱたかれたような顔をしてガルを見た。ガルも、今、シーファを『あんた』と呼んだ。
隣のリュートの顔を見ても、同じ様にシーファに怪訝な目を向けていた。

ガルから離れ、よろよろと後ろに後ずさりする。その場に座りこんでしまいそうなほどのよろけぶりに、ガルもリュートも心配そうにしてくれるが、明らかに見ず知らずの女性に向けるそれだ。

「あんた、大丈夫か?
なんか、俺らのこと知ってて、今の事情を知ってるみたいだし説明してくれねぇ?」

「……説明…?」

「ここ、どこだよ?何で俺たちこんなとこにいるんだ?俺は、ここにいる奴らのこと知らないんだけど。」

リュートはシーファのみならず、ガルとニーナの2人をも指差してそう言った。指差された2人の顔を見ると同じらしい。
シーファは思わず安堵の溜息をもらした。
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