海宝堂2〜魔女の館〜
海岸の先には木々がうっそうと茂っている。
森と言うほどではないが、林と呼べるぐらいの量はある。木々の根元には雑草が自然のままに根や葉を伸ばし、獣道ほどの道も見当たらない。

もし、村が島の反対側などにあったら結構な時間を取られてしまう。その上、野生の生き物が出てきても、今の様子では男2人は役に立ちそうも無い。

多少の不安はあるものの、置いて行くわけにはいかないので、ニーナを先頭に男達を真中にして、林の中に進んで行く。

茂る緑から光が漏れて差し込む。
木々の出す空気が心地よく体を包み、思わず深呼吸する。歩くには不便だが、光が刺している場所には綺麗な花が咲いているのも見られる。

そんな光景に、男2人は初めての体験のようにキョロキョロと辺りを見まわしていた。
リュートはいつものことのような気がするが、ガルはいつも違う意味で周りに気を配って歩いているので、そのなんの警戒心もない姿に、記憶が無いんだと改めて確信させられ、少し気が沈んだ。
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