嘘つき⑤【-sign-】
■冴木 花梨side■



◆花梨side◆



抜け出そう、なんてタイミングも掴めないまま、あたしは背中に嫌なものが走るのを感じた。

天童さんの眉がピクリと上がる。

『あなたには聞いてない』つまり、この美弥子、という人は真っ向から天童さんを否定したんだ。ピリとした雰囲気が流れて、



「今、彼の予定を把握しているのは私ですから」


天童さんはキツい目を無理矢理曲げる様に、挑む様に笑った。


「あら?そう。秘書か何か?芹沢さんも趣味が悪いわ。」


美弥子さんは事も無げに爆弾を落とす。


< 108 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop