嘘つき⑤【-sign-】
何も出来ない『お嬢様』の自分に甘えていたのは確かなのだと思い知らされる度に、痛い程歯痒い。
それを求めていたのは私なのか周囲なのか。
「…弱くていい」
恭平さんの低い声に私はそっと顔を上げた。
「ずるくていい。臆病でも、強がりでも」
やっぱりその瞳は力強くて、なのに切ない色に引き込まれそうになる。緩いフワリとした髪が風に揺れるのに、私はただ目を奪われた。
どうしてかしら、
「それ全部琴音ちゃんでいいから」
この人は、ほら
「俺が見てるから」
私が欲しい言葉をいつもくれる。