嘘つき⑤【-sign-】

恭平さんは私をグイと引き寄せて、包み込む様に抱き締めた。

拒む事もなく、私は腕の中にいてその温もりに溺れそうになる。
瞳の奥が熱くて、子供のように泣き出してしまいたい衝動に駆られた。



「…ありがとう…ございます」



引き寄せられた広い腕の中で、抱き締めて、触れた温度は全て私を包むのに




どうしてかしら、



辛くて、辛くて、恭平さんの優しさに胸が軋む。




ああ、私は駄目ね、



もう、彼以外、



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