嘘つき⑤【-sign-】
綺麗に平らげたお皿を片付けながら、麗子さんはまた私にニッコリと微笑む。
「翻訳の仕事も、琴ちゃんの恋愛だって、私はいつでも琴ちゃんの味方だからね」
「…麗子さん、…ありがとう」
温かい声は私を包んで、少し泣きそうになったのは本当。
だけど、私の泣く場所はもう無いの。
『恋愛』なんて綺麗な言葉私にはきっともう二度と使えない。
なんて
一度も使えた事はないのだけど。
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