嘘つき⑤【-sign-】

「うん、今日もすごく綺麗だね」

恭平さんは目を細めてあたしの手を引く。そういう彼も上等なスーツを着こなして、きちんと剃られた髭に緩いウェーブかかった髪を前髪だけ無造作に少し垂らして後は横に流してある。



「恭平さんも、素敵」


あたしは素直に微笑む。本当に素敵な人だと思うから。きっと立っているだけで女性方の視線を攫うわね、だってゾクリとする位の独特の色気はどーやったってこの人位しか身に纏ってないと思うから。

恭平さんの手を取りながら、何年振りかしら、と思う。瑠香さんのいたあの頃は、恭平さんがあたしの手を引いていた。子供のあたしを決して子供扱いしない恭平さんはいつだってスマートで、こんな人に愛されたら大変だわ、なんていつも思ってた。


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