嘘つき⑤【-sign-】
向かったロイヤルホテルの会場。
黒燕尾を着たボーイに通されて格式高いホテルの会場であるその場所に案内される。
空気は思ったよりも、重くなくてあたしは少し胸を撫で下ろした。
恭平さんはあたしから離れず、彼に挨拶に来る方は後を経たなくて、苦笑しながらあたしにすまないね、と謝る。
やっと、人の波が途切れた時、
「本当に、煩わしい」
恭平さんはフゥと小さく息を吐いて呟いた。
パーティ、彼があまりこの場を好まないのはこれが理由なんでしょう、私はクスリと笑う。
「雰囲気は楽しめましたわ、区切りの良い所で出ましょう」
あたしの笑みに恭平さんは頷いて、
「次が本番だからね?覚悟しといて」
と耳元で囁いた。