紫御殿†Purple heart
前髪から零れ落ちた雫は
私の頬を伝い落ちた。

また、髪から雫が流れようと
したその時

彼は、ポケットから取り出した
白いハンカチで、そっと
優しく私の頬に触れた。

貴方は、一度だけ微笑み
白いハンカチで

まるで、恋人に接するように
優しく雨に濡れた私の顔を
拭いてくれた。

貴方も・・・きっと、同じはず

「この傘、もらう代わりに
 遊んでもいいよ
 どこか濡れないところに
 連れて行ってよ」

私の言葉を受けて、貴方は言う

「もっと、自分を大事にすれば
 ガキに興味は無い」

「何もしないなら、
 この傘、もらえない」
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