紫御殿†Purple heart
「シドウ先生は、音楽と美術の
 両方ができるなんて
 すごいですね」

「少しもすごくなんか無いさ
 どっちも中途半端で・・・
 ひとつの事に熱中できる
 ハチヤの方が数倍もすごい」

その時、後ろから私の腕を
掴む人がいた。

さっきの貴方と同じように。
 
でも、違うのは・・・

掴んだ手は、その腕を伝い

私の手に優しく触れて

握り締めた。
 
その手の感触を

私は、知っている。

「イズル、俺の事
 そんな風に思ってくれてたの
 初めて聞いた・・・でっ
 レイ、お前、何してんの?
 そんな格好で」

浅緋は

その手を放してはくれない。
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