紫御殿†Purple heart
「まっ、そんなこと
 どうでもいいけど

 俺、お前の事 
 忘れられないんだ
 
 ねえ、いいだろう?
 あの日のように濡れ・・・」

やめ・・・て

「やめろ、それ以上言うと
 お前、殴るよ」

私の背後から

冷めた声が聞こえる・・・

男子学生の肩を握り締める指が
食い込んでいく。

痛さに顔を歪める彼の手が

私から放れた。

「痛い、やめろ、やめてくれ」

それでも、彼の肩から手を
退けようとはしない

その薬指には、指輪が光る。

「アサヒ、やめろ」
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