紫御殿†Purple heart

部屋に一人きり・・・

母の、はしゃぐ声が聞こえる。

私は、浅緋に借りた上着を脱ぎ
ドアに投げつけた。

微かにしか聞こえないはずの
母の声が、こんなにも煩わしく
頭痛を誘発する。

迎えに来た浅緋と、一緒に
帰る事を決めた里湖は
澪に一言だけ声をかけてから
帰ろうと、彼女の部屋のドアを
ノックするが返事は無い。

「レイ、開けるよ」

途中までしか開かないドア

何かが引っかかっている。
　
「・・・アサヒの上着」

ドアに挟まっている浅緋の上着
を手に取った里湖は

ベッドに横になる澪に

何も告げずに

部屋のドアを閉めた。
　
『レイは、俺が守る』

いずる・・・

貴方が居れば、それでいい。

早く、貴方に逢いたい。

ここから、逃げ出したい・・・