紫御殿†Purple heart
「ああ、その事なら何も
 気にする事は無い
 姉は、二年前に亡くなって
 いるし、姉の旦那で
 この家の主人は仕事で海外に
 赴任中で、今は日本にいない
 
 そんな彼に頼まれて、この家
 の掃除をする代わりに
 アトリエとして使わせて
 もらってるんだ」

「アトリエって事は
 先生の描かれた絵が
 あるんですか?」

「先生って、今更・・・
 ああ、二階にあるけど」

「見る事、できないですか?
 先生の絵、見てみたい」

「いいよ、おいで」

先生の後を付いて

二階へと上がる。

薄暗い屋内

絵の具の香り、

キャンバスの香り・・・
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