紫御殿†Purple heart
「レイ、ちょっと来い」

私の腕を掴む、浅緋の手を
振り解く事ができない。

「お前、昨日は
 どこに、誰と居た?
 アサノと
 一緒じゃなかったのか?」

登校して来た、生徒達の間を
抜けて階段を降り、廊下を
歩いて職員室の前。

「待ってろよ」

浅緋は、指導室の鍵だけを持ち
職員室から出てくる。

ここは、指導室。

静かな空間に、浅緋と二人きり

ドアは、静かに閉まる。

「こんなところで
 何を話すの?
 私、何も悪いことしてない
 先生に、指導なんて
 されたくないよ」

「ここしか
 今は話せる場所が無い
 美術室には今、部員がいる
 話せる時間は、10分・・・
 俺の、さっきの
 質問に答えろ、レイ」
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