紫御殿†Purple heart
姉の隣に、貴方は座る。

そんな浅緋を見つめる
私の瞳は、曇っていく。

これが、現実・・・

「私、まだ、用意があるから
 部屋に戻るね」

部屋へ戻って行く私の背中に
浅緋の視線を感じる。

私は、振り返らずに
部屋へと戻った。

「浅緋、私達もそろそろ
 お暇しましょう」

「ああ」

玄関で靴を履く、二人。

「リコ、アッちゃん
 また、ゆっくり
 いらっしゃい
 
 晩御飯でも
 一緒に食べましょう」

「うん、じゃあ、また」

「お邪魔しました」

並んで家の前に立つ二人を
私は、こっそり
自分の部屋の窓から
見つめていた。

振り返る、浅緋は
私の窓を見上げた。

私は、慌てて窓から離れた。
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